プチオンリーについて、まとめてみました
オンリーイベント開催中止
先日初音ミクオンリーイベント「ネギ畑でつかまえて!」が開催中止となり、話題となりました。
詳しい経緯は当事者ではないので分かりませんが、主催者の発表?によると「サークルが集まらなかった」との事です。色々な不手際もあり、主催者の見通しの甘さなども批判されています。
さて、初音ミクと言えば今最も旬コンテンツで「サークルが集まらない」というと、素人考えとして「あれ?」と思ってしまいます。昨日13日に行われたオンリーイベント「THE VOC@LOiD M@STER 2」は少なくても開催しているので「サークルが集まらない」事にはいくつか原因があると思われます。
あ)主催者の力量不足
い)ジャンル趨勢の読み違い
う)他イベントとの競合
あ)ですが諸々の不手際の噂を見ると、疑いようのない事だと思います。しかし同人人口が増えてきて、自分で即売会を開きたいと思い立つ人もこれから増える事が予想されます。今回の様な件はこれからもっと増えるのかもしれません。
い)は最近特に顕著だと言えます。オンリー即売会の準備には3ヶ月〜半年くらいかかるものなのですが、現在の「1クールアニメ」やネット発の「突発ブーム」に対しては、開こうとしたらブームが終わっていたという「リスク」を主催者側が負う事になります。
う)については、各イベント間で調整を行っているらしいのですが、そろそろ限界ではないかと素人考えですが、思います。現に今年はサンクリとコミティアが同日開催になるなど、「開催サイクル」「会場確保」「サークル新刊準備」などを考慮した日程調整は難しくなってきたと言えます。
上記あ)い)う)の示す問題点は同人市場が拡大した結果起きた「構造変化」だと言えます。その為、何らかの対応策が求められているのではないかと思います。
あ)の対策として「システム化した即売会開催ツール」
い)の対策として「ジャンルリスクの軽減」
う)の対策として「イベント数の調整」
「プチオンリー」とは
3月23日、狼と香辛料プチオンリー「狼の同人誌」が行われます。私も当初プチオンリーという言葉を「小さいオンリーイベント」位にしか意識していなかったのですが、調べてみた興味が沸きました。
この方式は上記あ)い)う)の問題に対する一つの解決方法かもしれないからです。
まずはプチオンリーの定義について「涼宮ハルヒの憂鬱」ノーマルカップリングプチオンリー 「Awkward Lover」の説明から引用したものが、以下になります。
涼宮ハルヒの憂鬱」ノーマルカップリングプチオンリー 「Awkward Lover」
http://sos.giragira.net/main.html
【プチオンリーとは?】
プチオンリーとは、提案者(発起人)があるジャンル(カップリング)に呼びかけ、特定のオールジャンル同人誌即売会に一斉に参加することを指します。別称ヤドカリイベント・ヤドカリオンリーとも呼ばれています。
【一般的なオンリーとの違いは?】
オールジャンル同人誌即売会への一斉参加というスタイルをとり、参加費や参加規定、募集規模、締切日などはそちらの参加要項に従います。尚、必ずしも同一のプチオンリー参加サークル同士が、全て連結して配置されるわけではありません。
女性向けイベントでは「テニスの王子様」などでカップリング別にかなりの数が行われている様です。
またどちらかというとサークルさんが楽しむ事に主眼がおかれている「お祭り」的なものらしいです。
このシステムの特徴は3つに集約できます。
・会場準備等の事務作業の多くは「宿主イベント」が行う為、開催負荷が少ない
・元々宿主イベントが開催するスケジュールに便乗する為、参加者が少なくても開催可能
・オールジャンルイベント内で共存する形になり「競合」から「協力」に変わる
つまりプチオンリーとは「手軽」に「小さい規模」で「数多く」開催できるシステムだと言えます。
小さなイベントは大きな武器になる
元々はオールジャンルイベントに、仲の良いサークル同士が一斉に参加して、その人たちでお祭り気分を楽しんでいたのが始まりです。コミケとかの合体スペースを島規模にまで拡大したと考えれば良いでしょう。しかし、あくまで別イベント内なのでサークルがバラバラに配置されてしまう可能性もあります。その為、プチオンリーではスタンプラリーによる「順路形成」を行ったり、記念合同アンソロ本や記念品配布などの「共同作業」を行う事で物理的にイベントを形成をしていました。
しかし即売会運営大手の「赤ブーブー通信社」はこの方式に着目してシステム化、2007年10月7日「COMIC CITY SPARK2」内で44件のプチオンリーを開催しました。
ONLY PLAZA(赤ブーブー通信社のプチオンリー支援システム)
http://www.akaboo.jp/onlyplaza/welcome.html
この支援システムは別に赤ブーブー通信社がお金を取る訳ではないので、普通のサークル参加となんにも変わりません。しかしサークル側には「参加する理由とモチベーション」を与える事ができます。またプチオンリー目当ての一般参加者が増えれば、宿主イベントとしても成功と言え、非常に良くできたシステムだと感じます。
最初に紹介した「狼と同人誌」は「赤ブーブー通信社」とは無関係ですが、男性向け即売会では珍しい「プチオンリー」というシステムを利用するいくつかの理由が考えられます。
・1クールアニメでライトノベル作品なので「参加サークル」が読みにくい
・しかもアニメ放映時の1〜3月で開催すると「みみけっと」と競合する
・逆にみみけっと側は中堅イベントとして「サンクリ」「コミック1」に挟まれているので差別化を打ち出す必要がある
つまり、小さいイベントを開催し易い「プチオンリー」というシステムは、中堅イベントの「差別化」としての武器にもなる事から開催されるのではないでしょうか?
プチオンリーが求められる2つの構造変化
2006年から行われている「都産祭」は都産貿全体が一つのカタログ(一部例外もありますが)で回れる合同イベントの様相を呈しています。個々で開催すると少ない集客でも、即売会が集まる事で大きなお祭りとなり、集客も増えます。この様な大規模合同開催方式(都産祭方式)は「スキマフェスティバル」など今後更に広がる事が予想されます。
一方中堅イベントでは「大規模オールジャンルイベント」との差別化を打ち出さないと「大手サークル」「一般参加者」の両方を集める事ができない為、個性的な「イベント内イベント」が求められていると環境だと言えます。
これら2つの状況に「プチオンリー」というシステムは非常に適しているのではないかとと言えます。
プチオンリーは同人市場の2つの構造変化から求められるシステムだと言えます。
一つは手軽に即売会開催したいという「増加するアクティブユーザー」の為のツールとしてです。
そして、もう一つは「即売会の差別化」の切り札として求められているのではないかと思います。