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エロゲー同人誌のジャンル寡占についての簡単な考察

Diary/2007-07-22 - August Dojin Data Base
http://addb.s247.xrea.com/index.php?Diary%2F2007-07-22


こちらのサイトでは2007年夏コミのエロゲブランド別の同人サークル数を集計されたものです。結論として以下2点を挙げています。

  • TYPE-MOON」が圧倒的に多い
  • 型月葉鍵以外のエロゲブランドで参加するサークルの数を全部足したものより多い



要約すると葉鍵型月の寡占状態との事です。実感としては、この3ジャンル以外の同人誌はほとんど見あたらないという表現が正しいと思います。


独り言以外の何か - This is the end Of Solmon Grundy.
http://d.hatena.ne.jp/Su-37/20070719

二次創作の余地というのは、物語の結論や意義がどこまで受け手に委ねられているかにもよるのでしょう。



アセティック・シルバー - アージュの作品の二次創作が極端にすくない理由。
http://d.hatena.ne.jp/hasidream/20070716/1184610001

つまり、アージュTYPE-MOONのもっとも大きな違いは「キャラクターありきの物語かどうか」という点に集約されます。

上記2つのエントリを要約すると「強固なテーマが無い」「キャラ中心の物語」と言うことでしょうか。
確かに君望の場合、涼宮遥の交通事故という「事実」に翻弄される人たちの物語です。決して涼宮遥に翻弄される訳ではないので、物語のキャラクターは交換可能です。そしてこの交換可能というのは「プレイヤー自身」とも交換可能だと言えます。自分がその立場になった時はたしてどう行動するか。それを通して何か「テーマ」みたいなものを感じて欲しい。age作品はそんな要素が強いのかもしれません。


さて、葉鍵月ジャンルの同人誌における寡占には「二次創作の余地」「キャラ中心」以外に2つ要因があるのではないかと思います。
これまでの要因を「内的要因」とするならば、こちらは「環境要因」と呼べば良いと思います。

強固なコミュニティーの存在

3つのジャンルともすでに7〜10年の歳月を経ていて、サークル・消費者ともに強固なコミュニティーを形成しています。このジャンルに新作が無ければ、いずれコミュニティーは廃れてしまいます。しかし定期的に作品が発表されているので、なかなかジャンルが廃れないのだと思います。
またアニメ・コミックに比べてゲームはプレイ時間が長く、新刊のネタに使えるゲームを探し出すのは困難を極めると言えます。その為多大な努力をして新しいジャンルを開拓するより、同じジャンルで続けた方が効率的なのではないでしょうか?


何故同じ事が他ブランドではできないのか。それは単に葉鍵型月よりも同人において後発だからだと思います。

サークルのモチベーションが続かない

コミケでは西館企業ブースに終日張り付いている人が結構多い様に思います。多分同人サークルに回らない人も結構多いのではないでしょうか。その為コミケでは葉鍵月ジャンル以外の同人誌が売れない状態になっているのではないかと推定されます。
エロゲーファン」と「コミケ一般参加者」は「消費者カテゴリー」として重ならないのではないかと考えています。
最近はとらのあななどで、かなりの新刊が手に入る様になったので、後日手に入れる事はできるから安心です。
買い手の立場だけならば。


同人誌の「商品」として特徴の一つは「新刊は即売会に合わせて発行する」事です。
つまり幾らとらのあなで売れるとしても、まずは即売会で売れないと、サークル側で新刊を継続して発行しようとは考えないと言えます。


会場で売れない→モチベーション下がる→サークル新刊が減る→ジャンル形成できない→更に売れなくなる→新刊無くなる
この構造は「即売会で販売しない同人誌」が主流になるまでは続くと思われます。そんな時代がくるかは分かりませんが。


何故同じ事が葉鍵型月ではおきないのか。それは企業ブースなどが発達する前に同人ジャンルを形成したからだと思います。


つまり環境要因としては「先行者利益」が働いているのではないかと考えられます。




いつかこのネタは纏まったエントリを書きたいと思っていたのですが、今回はこの辺で。
今回思い出したのは、君望(しかも水月本)やスクールデイズ(しかも言葉本)、つよきす(・・・蟹本)を探して莫大な徒労をした事です。なんでいつも反主流なんだ、俺は・・・。