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「印象」は常に疑えと言う事(自分への戒め)

TBいただいて、もう大分経ってしまって、ごめんなさい。

「ゲームセンターに明日はあるの?」さん
http://blog.livedoor.jp/hayashida2007/archives/2008-01.html?p=2

ガンダムのファンは、ファースト放映時から現在に至るまで基本的に「女性」と「子供」であり、そうしたファンに向けて作られている。

ガンダムオタクの知り合い(ガンダム放映当時20歳位)に「ガンダム放映当時の女性人気」について聞いてみました。曰く「女性人気が凄かったからこそ、ガルマの葬式をやった」との事です。ちなみに「ガルマの葬式」が有ったことは今回初めて知りました。
これより前に有った「あしたのジョー」力石の葬式は男性主導のイベントだったが、ガルマの場合は完全に女性が中心だったとの事です。またその後のアニメ誌創刊ラッシュで生まれた「OUT」「アニメージュ」なども、やはり女性メインの雑誌だったとの事です。同人人口は今も昔も女性が多いでしょうし、当時のアニメ誌のファンジン(この言葉今でも使うのかな?)的色彩が強かった事を思うと「ガンダム」ファンの女性比率は非常に高かったと思います。むしろガンダムのメカニックな情報を中心としていたニュータイプから、初めて「男性ターゲット」のアニメ誌が出てきたのかもしれません。


さて、時代が進み、2002年、幕張で開かれる「C3」で、ガンダムSEEDのイベントがあるとの事でしたので、当時見に行きました。





詳細は、もうあまり覚えていませんが、造形物中心のイベントなので子供と男性が中心だったと思います。少なくてもステージイベントの写真を見る限りは女性は見あたりません。イベント開始前に早々とステージ前に集まりだしていたのが印象的です。まあ見やすい所を早く確保したいですしね。多分私の「ガンダムSEED」=「男性中心」という当初イメージはここが源流になっているのだと思います。


逆に私自身がSEEDの女性人気をはっきり「目」で見た最初の記憶はゲームショー(だと思う)です。各ブースでSEED関連映像が流れると、かならずその周囲で女性がパラパラ(?)を踊っていて、係員に止められていたのを見た時でした。この当時の認識では「ガンダムSEEDの女性ファン」=「音楽がきっかけ」という構造で、OPの力がファン層獲得に強く貢献したのではないか?というものでした。もちろん一因でしかないですが。


ガンダム人気の根底を支えたのは「女性」や「子供」だったという事、そして「子供」をビジネスに組み込む「玩具タイアップ」は機能していたが、「女性」をビジネスに組み込む手法が無かったのが「ガンダムビジネス」のSEED以前の欠点だったという事は非常に興味深い話でした。なるべく「一事が万事」と受け取らない様心がけているのですが、どうしても「ガンダム」=「ガノタ」=「男性」という構造が「理解し易く」、そして「目立つ」からそちらに思考が引っ張られてしまいます。


端的にその危険性を教えて貰った「ゲームセンターに明日はあるの?」様のTBは非常に助かりました。これがweb2.0的なものの理解の仕方ですね(大げさな・・・)


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さて、ここからが本題。
元々この話は「事前情報だけで、アニメのヒットが予測できるか?」という命題から派生した話題でした。それについて私が考えたのが「過去事例をデータベース化し、数値化する」手法でした。そしてこの様な考え方を「POS的思考」と便宜上命名しています。


POS的思考とは「基本的」には「死に筋を排除」する手法だと考えています。つまり売れなくなってきた兆候を素早く判断するものです。しかし世の中的には、「売れ筋発見」の為に使われる事が多々あります。でもこれは「諸刃の剣」で、その危険性を良く理解しないと「先細り」する構造だと思います。POS的思考には2つの危険性があります。


・無理矢理結論を出す(都合の良い数字だけ利用)
・簡単に二番煎じを行う(ヒット要因だけを抽出する)


数字が一杯有るため、極論を言えば「どんな結論でも出せる」のがPOS的思考の怖い所です。数字が多い為とても「正しい事を言っている」ように見えるが、実は何にも当たっていない、みたいな事が良くあります。使っている人がその「テキトー」な面に気が付いているならば良いのですが、下手に「データベース」とか「重回帰」とかに迷い込むと、本人も含めてその結果に疑いを持たなくなる危険性があります。
更に数字で「売れ筋」が分かる為すぐにそれに類するモノを作ったりする事が可能となりました。皆がそれを行うと、その業界には似たようなものばかりになってしまう事があります。つまり何かが売れると、速やかに「それ一色」になる危険性があるのです。


これらの意味する所は、「印象」に残ったものを数字で「後づけ」で説明する事が容易だと言うことです。つまり今回の私の様に、ガンダムは男性が市場を支えているという「印象」を一旦持ったら、それを裏付ける数字は「どこから」でも持ってこれると言うことです。そして迂闊に「正しい分析」にみえてしまう為皆がそれ一色となり、なかなか変える事が出来なくなる(慣性が働く)のです。こうした事は最終的には、その市場自体の「先細り」を招いてしまう危険性があるのではないかと思います。


今回のガンダムSEEDに対する誤解は「C3」での「印象」に端を発するものだと言えます。だからと言って「市場動向」みたいなあやふやな数字を使って「分かった気」になる訳にはいきません。あくまでも最初から最後まで「自分の経験」こそが頼りです。多分経験に基づかないPOS的思考は最も危険だと思います。今回の敗因は「C3」だけを根拠とした事で、やはり現場百回しか解決策はないと思います。


こんな事ばかり言うと「数字は無意味」かとなってしまいますが、「諸刃の剣」と理解して使うのが正しい接し方だと思います。と、言う訳で「私なりの」数字への接し方として心がけているのは以下です。


・数式化は避ける(一人歩きするから)
・個別事例を大切にする(数字に表れ易い「大勢」ではなく「特殊事例」を重視する)
・数字判断は個人の力量に依存する(多分データを見るのは「職人技」で、見る人で結論が変わるのは当然)
・いつでも変更できる様にする(朝令暮改で良い)


と、この様な考え方から、以前の様な予測方法になりました。あれは「予測結果」が重要なのではなく、予測行為の積み重ねによって自分なりの「指数」を構築する事を主眼としています。
ごめんなさい>大日本技研さん


誰向けのエントリなのか分からないですが、いるんですよ。
世の中には「数字」と「実態」を混同して、口ばっかり出してくる人種が・・・。