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素直クール

http://blogs.dion.ne.jp/arere/archives/2052047.html(「ゲームのマボロシ」さんのクーデレまとめ)
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%c1%c7%c4%be%a5%af%a1%bc%a5%ebはてなダイアリー素直クール説明)


どうやら2005年後半に「素直クール」という属性概念が発生しているみたいです。
ゲームのマボロシさんでは「クーデレ」という方言とされている呼称を使っていますが、どちらも同じ意味みたいです。
もう属性は、キメラみたいな変種しかないと思っていました。その為「素直クール」もそれに含まれるものだと思っていましたが、「ゲームのマボロシ」さんが「クーデレの典型例」として紹介しているSSに俺的萌えポイントを発見しました。


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「仲井健一君」
「は、はい」
「私は前々から思っていたが。」
 そこで佳代さんは少し呆れたような目で腕を組む。
「君は女の趣味が悪いな」
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「君は女の趣味が悪いな」という台詞が萌え発揮ですよ。ちょっと恥らった感じで言ったらツンデレになってしまいますが、この淡々とした所に別属性を感じます。そう「素直クール」属性ならば赤面するのは「主人公」の役割です。

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「そういう佳代さんの男の趣味はどうなのさ」
「決まっている」
 逡巡の様子もなくきっぱりと答える佳代さんの目は、今まさに結婚の申し込みをされた相手とは到底思えない静かで理知的な目で。昴の馬鹿野郎が理知的にも限度がある、と言ったがこれがいいんだろうがあの馬鹿野郎。そう僕が思っている前でその続きを佳代さんは理知的な横顔で告げた。
「最高だ」
 やっぱり限度があるのかもしれないと、僕は赤くなりながら考えた。
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さて「素直クール」のポイントは2つです。
①「ツンデレ」に対抗して作られた
つまり人為的につくられた(見出された)属性であり、自然発生とは言いがたいのです。もはや属性はみんなで考え出さないといけない位枯渇してきているのです。

②ストレートな表現に男が振り回される
ツンデレ」の特徴は属性概念に時系列を持っている事です。つまりストーリや主人公との関係性と深い依存関係にある属性です。そして「素直クール」はこの傾向を更に進めたといえます。「素直クール」は主人公が振り回されたり、赤面させられたりする様が属性成立のポイントです。主人公との関係性で属性が成立する点では「ツンデレ」と同じです。しかし決定的に違うポイントがあります。「ツンデレ」は「ツンデレ」する女性に萌えるのですが、「素直クール」は何に萌えているのですか?「振りまわされた主人公」に萌えるのではないでしょうか?

つまり「素直クール」属性とは従来の女性キャラの特徴を意味する属性ではなく、主人公の男性の特徴、と言うよりストーリーを示したものだと言えます。元々属性概念が発達した背景は攻略したい女性をパターン化した事にあります。そう考えると「素直クール」は「主人公を通じて、プレイヤー自身が体験したい願望」をパターン化したものだといえるのではないでしょうか?つまり「女を攻略したい」のではなく「女に振り回されたい」のです。

「振り回されたいオタク」という構図は、オタク情報に注目しているマスコミの好む図式だと感じます。「負け犬と脱オタ」という構図だった電車男は2005年大ヒットしました。2006年はもしかして「素直クール」で2匹目のドジョウを狙ってくるかもしれません。

ちなみに女性のストレートな愛情表現で男が振り回されると聞いて「東京ラブストーリー」(1991年)を思い出す私はオヤジでしょうか?この作品はトレンディードラマブームの口火を切ったものですが、精神的にも経済的にも「強くなった女性」を象徴していた作品です。以降女性が恋愛関係で強い発言力を持つようになり、バブル期とも重なった結果、本田透氏の言う「恋愛資本主義システム」を生み出していったのです。

素直クール」が流行る時、「萌え」の中にも「恋愛市場主義システム」が進出してきた事を意味するのかも知れませんね。