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[雑記]Amazon上で著者とレビュアーがバトル

http://lynceus.seesaa.net/article/5163975.html(nomadica氏のBlog)
http://d.hatena.ne.jp/maroyakasa/20050715(問題のレビューの引用有り)

・・・出版不況は人の心も荒ませてしまうのか。

状況を掻い摘んで説明すると以下の通りです。

吉田望氏の「会社は誰のものか」(新潮)に対してnomadica氏がAMAZONでレビューを公開。その内容が好意的ではなかったため、吉田氏がnomadica氏のBlogに反論。しかもその反論が徐々に恫喝っぽくなり、「悪いレビューは営業妨害だ」との主張も盛り込まれるにいたり、非常に嫌な雰囲気になっています。

「会社は誰のものか」を実際に読んでいない以上、内容の良否を私は分かりません。しかしこのやり取りは、書店の棚の前でお客さんが悪い評判を口コミしていたら、たまたま著者が聞いていて大喧嘩になったのと同じだと言えます。リアルかネットかの差はありますが。
大人げない。

さてこのトピックはいくつかの事実を表面化させてくれました。


①なぜ吉田氏はこんなに怒ったのか
Amazonはネット書店で最大手だと推定されます。その上ビジネス書は忙しいビジネスマンが通勤の合間に情報源として効率良く読むものです。書店でブラブラと手にとって探すより「評判書を、ネットで、宅配で」購入する方が適していると言えます。
つまりビジネス書におけるAmazonのシェアは非常に無視できない規模だと思われます。そのど真ん中で悪い評判を立てられたら「営業妨害」として無視できない影響力があるのではないでしょうか?

今回の事例はAmazonが如何に出版業界で無視できない規模に達しているかを示したと言えます。


②悪いレビューは書いたらいけないのか
AMAZONのレビューは非常に多いですね。今回の「会社は誰のものか」にもnomadica氏のレビュー(ご本人が削除)以外に8件もついています。内容は本当はすばらしいものなのか、全て賛辞の内容です。当然です。「売り場のPOP」にマイナスイメージを記載する必要はありません。今回「営業妨害」と吉田氏が言っていましたが、本来マイナスレビューで一番「営業妨害」を受けるのはAMAZONです。
つまり本来であればAmazonはマイナスレビューなんか掲載するメリットはないのです。しかしあえてそのようなレビューを掲載するのは、それによって顧客の信頼(Amazonは隠し事をしない)とブランド力強化(Amazonでは正しい商品選択ができる)が達成でき、結果的に売り上げ増になると判断しているからです。

今の時代、悪い評判とは「内容が悪い」事より、その評判を「隠蔽しよう」とした事なのではないでしょうか?


③じゃあ褒めているレビューは正しいのか
レビューとはつまり口コミです。顔見知りなら人間性とかで判断もできますがネット上の不特定多数のレビューは絶対正しいと言えません。2ちゃんねるの書き込みなら「うそはうそと見抜け(以下略)」と大抵の人は理解していると思います(よね?)しかしAmazonレビューとなると、途端に判断が甘くなる傾向があるのではないでしょうか。
レビューとは広告かもしれないと疑う気持ちも必要でしょう。実際出版社が書いているかもしれません。Amazonの社員(とかバイトとか)が書いているかもしれません。勿論本当に読んだ人が書いたレビューもあるでしょう。しかしAmazonサイト内で販売活動の一環としてレビュー機能がある以上、販売戦略と無関係に、ましてや善意で行っている訳ではありません。

どんな情報もインターネットの普及で手に入りやすくなった。もしそう思っている人がいたら改める事をお勧めします。最終的に情報収集をして判断をするのは、結局自分自身しかいません。この事は自戒の念を込めて記載したいと思います。


今回の事例は、ネット上での情報発信を武器に規模を拡大するAmazonと、ネット上の情報は制御したいがネット書店には依存していかなくてはならない出版界の対比を明確にしたのではないでしょうか?