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ケータイ小説の市場規模について考えてみた

何度目かわからないけど「ライトノベル市場規模」の話 - 平和の温故知新@はてな
http://d.hatena.ne.jp/kim-peace/20071204/p1

ちなみに「ケータイ小説」の市場規模は182億円らしい。

・・・ケータイ小説が書籍化した際の売上って、やっぱり書籍全般の市場規模金額に含まれるんだろうなぁ。

どこかのメディアで、ここだけ抜き出して数値化してくれないかな・・・

ケータイ小説の書籍化した市場規模についてまとまったデータはなかなか見あたりません。
無理矢理以下の情報から推計してみました。



材料1
インプレスR&Dシンクタンク部門インターネットメディア総合研究所調べによると、2007年3月末のPC・ケータイ向け電子書籍市場全体の規模は約182億円。但し、このうち電子コミックが106億円なので、差し引き76億円が「販売された」ケータイ小説市場規模の最大値だと言える。端数がめんどくさいので、以降は電子書籍市場は75億円(以下に追記有り)とします。
魔法のiらんど」などの主なケータイ小説サイトは無料なので、この中には含まれていないと思われる。


<追記>
上記は正確な表現ではありませんでした。
インプレスR&Dの数字では「ケータイ向け」小説市場は30億円といえます。76億円にはPC向け市場も含まれています。

材料2
出版科学研究所調べによると、Deep Love〜』が刊行された02年12月から07年6月の間に、単行本で刊行された文芸書で、取次窓口経由の新刊の中に、52タイトル・58点のケータイ小説が存在。この条件に当てはまらないケータイ小説はほとんど存在しないと思われる。他ジャンルに比べて「アイテム数」的にはほとんど存在しない規模でしかない。


材料3
2007年のベストセラーは以下3点
「恋空」2巻累計200万部
「赤い糸」2巻累計100万部
「君空」累計100万部(実際は140万らしいが、今回は100万と判断)


単価は全て1050円(売価)なので上記3シリーズでの市場規模は42億円となります。端数めんどくさいので約45億円とします。
2007年には上記以外の新刊が有りました。


Seven☆love
クロスロード 2・3
もしもキミが。
泣き顔にKISS 上下

心の鍵 上下
新宿日記 上下
先生は俺のもの
大好きやったんやで 上下
片翼の瞳 1・2・3
翡翠と天青の物語


これらがみな10万部、単価1050円だったと計算して18アイテム×10万部×1050円=約20億円で推定。


<参考>
Deep Love」シリーズ累計250万部(1作平均60万部)
天使がくれたもの」シリーズ累計100万部(1作平均25万部)
過去のヒット作がこれくらいだから、新刊平均10万部は多い気もしますが、概算だから多めに(笑)

他にも既刊約40アイテム販売分が有ると思うので、「勘で」2万部位にしてみましょうか。普通書籍は重版市場の方が大きいと思いますが、この商品群に関しては初速重視ではないかと思われます。単価もめんどくさいので1050円で統一!
40アイテム×2万部×1050円=約9億円

全部足すと45+20+9=約74億円。端数めんどくさいので書籍単行本は75億円市場と推定してみます。


材料4
2007/11/26日経の「ケータイ小説」に関する記事では、関係者コメントとして、ケータイ小説の単行本市場は「数十億円に達している」とされています。上記の試算を概ね合致するので、発言の信憑性は高いと判断されます。



結論
ケータイ小説市場の2007年時点での市場規模は電子書籍市場は75億円程度(以下に捕捉有り)、また書籍・単行本市場がほぼ同規模で75億円程度と判断します。


<追記>
上記も正確ではありませんでした。電子書籍市場は75億円程度ですが、ここではケータイ小説について述べているので、30億円程度とするべきものでした。

しかし、書籍単行本数がまだ60アイテム以下しかない点、電子書籍市場が前年比300%の成長している事、何より「魔法のiらんど」などに約100万作あると言われている無料のケータイ小説群とそれを読んでいる消費者の市場規模について換算していない3点より、ケータイ小説市場はまだ「伸びしろ」のあるものではないかと思います。


ケータイ小説は一過性のものという意見も聞きますが、ほんの数年前に日記サイトはバーチャルネットアイドルラグナロク日記しかないので未来がない、みたいな論調があった事を思い出します。
今、日々の取るに足らない個人的な事をBlog等にアップする事が無意味だと主張をする人は、Web2.0時代に皆無だと思います。現状の「コンテンツの質」と「プラットフォームの可能性」は別問題と考えた方が良いでしょう。


余裕があったら(全然ないが・・・)今度はケータイ小説ライトノベルの親和性について考察したいと思います。